工業用石鹸とは?石鹸の種類や用途について解説
普段、生活の中で使っている石鹸。石鹸には家庭用だけでなく工業用のものもあります。家庭用の石鹸は、顔や体などお肌を洗ったり、衣類の洗濯や食器洗いに活用します。では、工業用はどんな使われ方をしているのでしょうか。
この記事では、通常の家庭で使われている石鹸だけでなく、工業用の石鹸の種類や用途についても解説します。
この記事を読むことで、普段何気なく使っている石鹸がより身近に感じられるかもしれません。
石鹸とは
石鹸の原料
石鹸は、動物や植物から採取される油脂を原料としています。牛脂やパーム油、ヤシ油などが使用されていますが、近年では特にパーム油が多く使われています。
油脂とは、脂肪酸とグリセリンが結合したものです。石鹸はその油脂に、水酸化ナトリウムなどのアルカリを混ぜて反応させたものです。
石鹸は界面活性剤の一種
石鹸は界面活性剤の一種です。界面活性剤というと、化学成分から作られているイメージを抱く人も多くいるかもしれませんが、石鹸は原料に天然の動植物油脂を用いています。
身体用石鹸
普段自宅で使用する石鹸は、「身体用」「身体以外用」に大きくわけられます。
身体用石鹸は、汗や皮脂、角質などの身体から出る内側の汚れと、ゴミやホコリなど外側の汚れを取り除く目的で使用されます。
身体用の石鹸は、浴用石鹸、洗顔石鹸、洗髪石鹸、手洗い石鹸などがあります。石鹸と聞くと固形をイメージする人も多いかもしれませんが、粉石鹸や液体石鹸もあり、固形石鹸よりも使いやすく管理が楽であることから人気になっています。
また最近では、髪から足先まで全身をひとつの石鹸で洗えるものや、石鹸成分以外の添加物を一切含まない無添加石鹸なども人気です。
身体以外用石鹸
身体以外に家庭で用いられる石鹸には、洗濯石鹸、食器洗い石鹸などがあります。
洗濯石鹸は、通常は粉石鹸や液体石鹸を使用します。頑固な汚れやシミなど、普段の洗濯で落ちにくい汚れのときに、ピンポイントで固形石鹸を使用すると便利です。
添加物を一切含まない無添加のもの、石鹸の働きを助ける助剤を含むもの、柔軟剤入りのものなどさまざまです。肌荒れに悩む人や敏感肌の人は、石鹸成分のみで作られた洗濯石鹸が安心でしょう。
食器洗い石鹸にも、固形だけでなく、粉末石鹸、液体石鹸があります。このうち、液体石鹸はスポンジで泡立てられることから、手軽に使いたいという人におすすめです。
また、肌の弱い人や敏感肌の人は、添加物が肌に影響を与える場合もあります。そんなときには、石鹸成分のみの無添加食器洗い石鹸を試してみるといいかもしれません。
石鹸ではない石鹸
一般的に家庭などで使用される固形石鹸や粉石鹸は、脂肪酸と水酸化ナトリウムを反応させて作る脂肪酸のナトリウム塩です。固形石鹸は比較的水に溶けやすいのが特徴です。
液体の石鹸は、水酸化カリウムと反応させた脂肪酸のカリウム塩です。ナトリウム塩よりもさらに水に溶けやすいという特徴があります。
しかし、石鹸の中には、水に溶けない性質の石鹸があります。水に溶けないこの石鹸には、洗浄効果がありません。この石鹸は「金属石鹸」と呼ばれ、工業用の石鹸として幅広く活用されています。
工業用石鹸の用途
金属石鹸と呼ばれる工業用石鹸は、潤滑性、ゲル化性、撥水性、界面活性などの特性を持っています。
色材工業の塗料、プラスチック工業のプラスチック、潤滑、燃料工業のエンジンオイル、燃料、鋳造工業のエンジン、皮革工業の皮革、繊維工業のファブリックシートやカーペット、ゴム工業のゴム、紙、パルプ工業の断熱用板紙など、幅広い分野で有効活用されています。
「石鹸」と一口にいっても用途も特徴もさまざまです。普段自分が使用しないものでも、興味がわいたものに対しては、一度調べてみるとよいかもしれませんね。